二〇一一年一〇月六日

祖母の家に行くと金魚の水槽が四つあつた。其のどれもが水質管理がなつてゐなくて金魚が大好きな僕は其れが許せなくてすぐに水換へをすることにした。
水槽は縦に二つ、横に二つと並んでゐたので先づは縦に二つ並んだ上の水槽を下に降ろす事にした。水槽は三〇センチメートル水槽でなかなかの重さがあつたけれど一人で簡単に降ろす事が出來た。其の後に他の水槽も全部我が家に移して水換へをすることにした。
軽く塩を巻いて(金魚の体液の濃度に近付ける為だ)、三分のニの水を換へる為に何か容れ物はないかと探してゐるとポンプが二つ見つかつたけれど其れは石油用のポンプの可能性があつたのでポンプは諦めて大きなコップで水換へをすることにした。

水槽の内の中には何匹か死にかけで水面に浮き乍やつとのことで呼吸をしてゐる状態の金魚が何匹かゐたので僕はとても心配に為つた。今迄の経験上さう為つた金魚を元気な状態に戻す事はなかなか難しいことを知つてゐたからだ。

僕は家に帰つて先づ水槽の置き場所を探した。四つも水槽があると置き場所も選ばなければいけない。家に帰ると水槽が三つしか見当たらなかつた。親に訊くと確かに僕は四つの水槽を家に持ち帰つたらしかつた。水槽の水換へをしようと水槽を置く場所を整理してゐると普段整理してゐない場所から三本の簪が出て來た。それらは埃まみれの床に落ちてゐて全て先端に銀色や金色の糸状の金属が垂らされた先に大小様々な飾りがついてゐた。
僕はセミロングまで伸びた髪を簪で纏めてから水槽の水換へをすることにした。

二〇一一年九月二三日

僕が働いてゐるキャバクラに戀人と友人のTが來た。僕はTの隣に、他の女の子が戀人の隣に座つて、僕の真向かひが他の女の子、右斜め前が戀人、そして僕の右隣にT、と云ふ形で座つてゐた。暫く皆で軽くお酒を呑み乍和やかに談笑をしてゐた。
途中で僕と戀人が一緒に行かうと約束してゐたライヴの話になつた。僕は戀人と「27日如何する?何処かで待ち合はせしてから一緒に行く?」等と話してゐた。其の後なかなか呑ませて呉れないと云ふ些細な理由から僕と戀人は険悪な雰囲気に為つて仕舞つた。戀人の隣についた女の子には身振りで「御免ね、今はゆつくり話させて」と合図をした。そこでTが(彼はとても優しい)戀人に「いやいや☓☓さん、云ひ方きつく為つてますよ。『行けば?』が(冷たく語気を荒げて)『行けば?』に為つてますよー。みっちゃん困つてるぢやないですか。」等とフォローをいれた後に「これでいゝやろ?」と僕にこつそり耳打ちをした。お陰で戀人も少し落ち着いていつもよりは冷たいけれど優しさを取り戻してゐた。

それから僕は酔ひ潰れて寝て仕舞つた。起きると女の子の数も増えてゐて見知らぬ男の人もゐてシャンパングラスが沢山並んで女の子も皆お酒を呑んでゐた。僕には呑ませなかつた癖に他の女の子にはどんどん呑ませてゐた事に腹がたつた僕と戀人はまた喧嘩に為つた。

戀人が店を出て僕も仕事が終はつた後に道端でお店の女の子と話してゐると偶然戀人が通りがゝった。けれど聲はかけて呉れなかつたので僕は如何し様か悩んでゐた。其の侭暫くTに相談しようかな等と考へ乍一人でぶらぶら歩いてゐると先刻とはまた別のお店の女の子が二人ゐて其の内の一人が「さつきはいゝお客さん呼んでくれて有難うね!」等と話しかけてきた。其の時事情を知つてゐる最初に戀人の隣に座つたもう一人の女の子が其の話に持つていかない様にと暗に話を流した。彼が僕の戀人である事をもう一人の女の子に告げると「嘘〜?!」と其の子がびつくりした。僕は改めて事情を伝へ僕が睡つてゐた間に何が起きたのかを軽く教へて貰つた。さうしてゐる最中と戀人とすれ違つた。僕は「☓☓!」と彼の名前を呼んだけれど彼は無視して通り過ぎて行つた。

戀人にメールをしても返信もなく、いよいよ僕が如何したらいゝか分からなく為つた時に今日は給料日だつたのにお店で給料を貰ひ忘れたことを思ひ出したのでお店に戻ることにした。お店に戻つて給料を受け取ると店長が「秘蜜、寫眞撮影いつにする?」と訊いてきた。僕が「あ、この日なら大丈夫です。」と伝へると「さつきのお客さん凄いねー有難うねー。」と云はれたので「あれ、僕の彼氏なんですよ。」と返すとびつくりされた。そんな話をし終はつた後にベースを持ち帰り忘れた事にも気付いた。

ベース本体は更衣室にあつたのだけれど、如何してもベースケースが見つからず困つて仕舞ひお店にゐた女の子何人かに訊ねたけれど何処にもベースケースは見当たらなかつた。僕の次の出勤は四日後で四連休の間にベースに触れないと思ふと耐え難く、僕は必死でベースケースを探したけれどやはり見つからなかつた。

二〇一一年九月二〇日

僕達は僕の戀人と、久々に逢ふ知り合ひのRとその彼女との四人で遊んでゐた。Rの彼女とも仲良くなれて、僕の戀人はRと、僕はRの恋人とで盛り上がつてゐた。
だけども戀人とRがあまりにも盛り上がり過ぎて僕とRの戀人を放置状態にして仕舞つたので僕は淋しく為つたと同時に戀人を放置する彼にほんの少しの怒りも覚えた。

戀人とR、そして僕とRの戀人は椅子に座つてゐて椅子と椅子の距離すら二・三〇メートルくらゐ空いてゐて僕の戀人とRは恐ろしい程会話に花が咲いてゐた。だけれどもあまりにも長い時間僕とRの戀人の二人きりにされ頭の片隅にもない様で僕とRの戀人はだんだんと厭な気分に為つてきて流石にそれは僕にとつてもRの戀人にとつて非道いし失礼だと思ひ僕は戀人の名前を呼んだ。
「××〜」と名前を呼んでも彼は気付かず、Rがそれに気付いて彼に「××、呼ばれてるよ」と教えてゐた。

ニ〇一一年九月一五日

コームで髪をとかさうと思つた。コームを見ると茶色の毛が沢山絡まりついてゐて(そして僕は黒髪だ)気持ちが悪くなつて髪の毛をとくのをやめて他のふたつの櫛を探すことにした。

二〇一一年六月二一日

僕の躰中のピアスがガタガタに崩れ落ちて仕舞つた。ボールがいくつも取れて、シャフトがないものすらある。右のニップルのピアスを見ると片側だけボールが外れてゐた。他のピアスも確かめる。いくつもピアスが取れてゐる。もう一度右のニップルのピアスを確かめる。今度は全部無くなつてゐる。
外れたピアスが全てシンクの上に散らばつてゐた。僕がつけてゐない筈のピアスも沢山。青い石がついたボールだなんて、僕は知らない。僕は必死でピアスを集めようとする。その途端、水が流れた。ピアスが沢山流れてゆく。僕はそれに追いつけない。

二〇一一年六月一八日

僕は手にDUKEのペンギンライターを持つてゐた。お気に入りのライターだ。銀色に光る其れで火を点けようとしたが、何度試しても火花が散るだけで火は点かなかつた。