二〇一一年一〇月六日

祖母の家に行くと金魚の水槽が四つあつた。其のどれもが水質管理がなつてゐなくて金魚が大好きな僕は其れが許せなくてすぐに水換へをすることにした。
水槽は縦に二つ、横に二つと並んでゐたので先づは縦に二つ並んだ上の水槽を下に降ろす事にした。水槽は三〇センチメートル水槽でなかなかの重さがあつたけれど一人で簡単に降ろす事が出來た。其の後に他の水槽も全部我が家に移して水換へをすることにした。
軽く塩を巻いて(金魚の体液の濃度に近付ける為だ)、三分のニの水を換へる為に何か容れ物はないかと探してゐるとポンプが二つ見つかつたけれど其れは石油用のポンプの可能性があつたのでポンプは諦めて大きなコップで水換へをすることにした。

水槽の内の中には何匹か死にかけで水面に浮き乍やつとのことで呼吸をしてゐる状態の金魚が何匹かゐたので僕はとても心配に為つた。今迄の経験上さう為つた金魚を元気な状態に戻す事はなかなか難しいことを知つてゐたからだ。

僕は家に帰つて先づ水槽の置き場所を探した。四つも水槽があると置き場所も選ばなければいけない。家に帰ると水槽が三つしか見当たらなかつた。親に訊くと確かに僕は四つの水槽を家に持ち帰つたらしかつた。水槽の水換へをしようと水槽を置く場所を整理してゐると普段整理してゐない場所から三本の簪が出て來た。それらは埃まみれの床に落ちてゐて全て先端に銀色や金色の糸状の金属が垂らされた先に大小様々な飾りがついてゐた。
僕はセミロングまで伸びた髪を簪で纏めてから水槽の水換へをすることにした。