二〇一一年三月一五日

ドラマーが見つからない儘に準備もロクに出來ずライヴの日が來て仕舞つた。僕とコジカはライヴハウスにゐた。他のバンドがライヴをしてゐる最中に抜けだして二人でぶらぶらと歩いてゐた。ある建物に入ると其処には沢山のテーブルがあり、その上には色々な種類の料理があつた。

僕はコジカに「今日のセトリ如何する?」とずつと話してゐるのにコジカは「うーん」等と云ひ乍一向に答へを出さない。そんなことはそつちのけでテーブルの上の料理をつまんでばかりゐるので僕はとても苛々してゐた。
そもそも僕等にはあまり持ち曲がなく、やる曲、と云ふよりは曲順を決めなければいけない、と云ふ方が適切かも知れない。僕は「今日だけでも誰か友達に(うん、さう、T君にでも)サポートでドラム頼めばよかつたなア」等と考へ乍コジカがまつたくあてにならないので一人で悶々としてゐた。
さうしてゐる間にもどんどんと出番の時間は近付いて來てゐた。更に最悪なことに僕等の出番はトリだつた。そして僕等のバンドは曲すらまだあやふやでインストにするか、唄をいれるかも決めてゐなくて、もし僕が唄ふことにするとしたら歌詞は如何し様、一層ジャムにした方がいゝんだらうか、それなら尚更ドラムがゐないと難しいな、等とずつと不安に為り乍考へてゐたが結局答へは出なかつた。