二〇一一年三月二二日・其の壱

僕がお店に出勤すると、沢山の女の子の荷物がなくなつてゐた。皆口々に「私のドレスがない。」「私の靴がない。」「ねえ、私のポーチ見なかつた?」と云ふ様なことを話してゐる。
さうして僕の荷物も無くなつてゐた。ドレスと靴が見当たらなくて、僕はお仕事をする恰好に為れない。必死で色々なところを探した。すると、ゴミ箱の横の沢山服だの何だのが山積みに為つてゐるところに僕のドレスとヌーブラがあつた。如何してこんなところにあるのだらう?と疑問に思ひ乍も、見つかつて良かつた、と僕は思つた。
だけど靴が見つからなかつたので、如何し様、と思ひ、靴だけはお店のものを借り様かな、と考へて、お店の人に事情を話して借りに行かうとした。